フォーブスも選出!Aidemy社長の石川さんが目指すAI教育とは?

Aidemy社長の石川さんがForbesの『2021年アジア、30歳未満の30人 Enterprise Technology部門』に選出されました。
Forbesと言えば、長者番付などの名物企画で知られる世界的な経済誌。石川さんは今後世界を変えていく技術系企業の経営者と評価されたわけです。

石川さんが創業したAidemyは2017年スタート。わずか3年あまりで、国内No.1のオンラインAI学習サービスになりました(ESP総研調べhttps://aidemy.co.jp/news/1373/

私も2021年にAidemyを受講し、まったくの知識ゼロから機械学習やプログラミングがわかるようになりました。

そこで本記事では、石川さんの経歴とAidemy創設までの経緯、なぜAidemyがわずか3年でここまで急成長できたのかについてを解説。
経営者である石川さんの考え方から、Aidemyがこれからどんな学習体験を展開していくのかを考察いたしました。

目次

Aidemy社長石川氏の経歴

石川さんのプロフィールをまとめると以下の通りです。

  • 1992年生まれ
  • 元歌舞伎の子役
  • 東大卒
  • 学生起業家
  • イニシャルがAI(うまい!笑)

幼児時代に歌舞伎の子役でデビュー

石川さんは幼稚園から小学5年生まで、歌舞伎の子役をしていました。
実家は名のある歌舞伎の家元……というわけではなく、あくまで一般家庭のご出身。歌舞伎を演じたきっかけは、ご両親がオーディションに応募し、合格したためだったそうです。

TVでも取り上げられたほど、ちょっとした有名子役だったのですが、「伝統文化を守るより新しいものを創造したい」と思うようになって、歌舞伎の舞台からは身を引いたそうです。

その後、中学受験をしてサレジオ学院に入学。
歌舞伎と入れ替わるようにして、パソコンに深く興味を持つようになったとのこと。

サレジオに入学してからは、サイト制作ゲーム制作は作りながら勉強していました。自分の頭の中にあるものが形になる経験は私にとっては歌舞伎と繋がる部分もあり、楽しかったです。当時から、社会に出た後も続けたいと考えていました。

アイデミー代表の石川 聡彦さんがAIのビジネス活用の現在地と展望を徹底解説!/KeyPlayers


石川さんのAIの種は、この頃すでに植えられていたようですね。

高校時代からビジネスを始める

高校生のとき、ヤフーオークションでせどり(物を安く買って高く売ること)を経験。ゲームや漫画を扱って、年収10万円稼いだとか。
せどりで商売の基礎を学ぶとともに、「ビジネスって楽しい!」という気持ちを持つようになったそうです。

高校生の時はいろんな制約があったんですが、大学生になったらビジネスができると思っていたので、大学生になったら本格的な商売をやってみたいなという気持ちはずっとありましたね。

くすぶった起業3年、どう変化し業界No.1へ至ったか|アイデミー 石川 聡彦氏 / The Founders with スタタイ

東京大学で学生起業

大学は一浪して東京大学の工学部に進学。東大入学というだけで、やはりただ者ではなかったわけですが、石川さんはただの東大生では終わりません。

さっそくビジネスコンテスト運営サークル『KING』に参加。聞きなれないジャンルですが、要はビジネスを立ち上げる=サークル活動のような集団のようです。
OBにはユーグレナ社長の出雲さんや、クラウドワークスCOOの成田さんなど、知る人ぞ知る成長企業の経営者もいらっしゃいます。
学生のうちからビジネスするのが当たり前の環境に身を置いたことで、石川さんも2014年、大学3年時に起業。
しかし……順風満帆の発進とはなりませんでした。

鳴かず飛ばずの3年間|でも意外と平気だった?

石川さんは最初の3年間、高校時代に思い描いた「自分で作った製品・サービスを売るビジネス」を始めました。

  • 物をおすすめしあうSNSサービス(現在の楽天Roomのようなもの)
  • 弁当のデリバリー
  • 自動でポイントがつくアプリ

プログラミングスキルを活かして様々なWebアプリを開発したものの、売上はなかなか伸びず。
しかし石川さんご本人は、「追い詰められた」という気持ちにはならなかったそうです。

ちょうどAidemyが始まる1年ぐらい前に花房氏がユナイテッドにイグジットしたり、金くんがクルーズにイグジットしたり、当時East Venturesのシェアオフィスにも入らせていただいてたんですけれども、そこで花房くんとか金くんとかが近いテーブルにいて、あとはトリコの藤井さんとか、Bitstarの渡邊さんとか身近な方がわかりやすく成功していたニュースも見ていたので、自分でもできるんじゃないかなっていう期待を持てたので結構続けられたというのがありますね。

くすぶった起業3年、どう変化し業界No.1へ至ったか|アイデミー 石川 聡彦氏 / The Founders with スタタイ


非常に楽観的というか、成功や失敗にあまりこだわらない人柄がインタビューから伺えました。
そうしてビジネスの失敗を繰り返す中で、ご自身の向き不向きを把握されていったそうです。

ファウンダーマーケットフィットみたいな話ってあると思うんですけれども、ファウンダーによってどういう事業領域が向いているのかっていう話ですね。やっぱりBtoC向いてないんだなっていう気付きがやっぱりあって。

(中略)売上がない状態で何千万円広告を踏むみたいなそういう大胆な意思決定がなかなかできないタイプだったので、安定的にキャッシュフローを生めるBtoBサービスの方が自分には向いてるんじゃないかなってふんわり思い始めたというのはありますね。

くすぶった起業3年、どう変化し業界No.1へ至ったか|アイデミー 石川 聡彦氏 / The Founders with スタタイ

出資者との会話からアイデミー創設

鳴かず飛ばずの3年を過ごしている間に、石川さんは東京大学大学院へ進学されました。
周囲の友人たちが就職活動を始めたことで、石川さんも将来の岐路に立ちます。

このまま自分のビジネスを続けるか、それとも普通に企業へ就職するか。

ビジネスを続けるとしたら、大きく転換する必要がある。

そう感じた石川さんは、Skyland Venturesの木下さんという投資家の方と、毎週ビジネスアイデアについて議論したそうです。
結果出てきたのが、AI教育サービスでした。
ただ議論に議論を重ねて深掘りしたわけではなく、けっこうあっさり決まったものだったようです。

事業アイデアをブレストしてたんですよ。AIの教育サービスとか、ヘルスケアサービスとか、あとはメディア系のサービスとか。ちょっとどんな内容だったかあまり覚えてないんですけれども、アイデアは5個6個出して木下さんにぶつけてというふうにやってて、木下さんから雑にAIだろっていうフィードバックもありつつ(笑)

くすぶった起業3年、どう変化し業界No.1へ至ったか|アイデミー 石川 聡彦氏 / The Founders with スタタイ


しかし開始からわずか3年、Aidemyは国内No.1のAIオンラインスクールになりました。

AidemyがAIスクールNo.1になれた3つの理由

Aidemy急成長の理由には、やはり経営者である石川さんのパーソナルな特性が大きく影響していると調べていて強く感じました。

ここからは石川さんの経歴やインタビュー記事と、実際にAidemyを受講して感じたAidemy成長の理由について解説します。

ユーザーの悩みを起点に教育内容を展開した

立ち上げ時のエピソードからわかるとおり、Aidemyは石川さんが独自の教育理念を持っていたから始まったわけではありません。
「今後AI需要が伸びて売上が見込めそうだから」という、非常にビジネス的な視点から始まった事業でした。

だから実際の教育コンテンツを作っていくとき、提供する側の思いから出発するのではなく、ユーザーの悩みから出発しました。ここが成功の理由としてまず挙げられます。

私自身も人工知能に触れる研究を行い, 趣味やビジネスを問わずデータ解析や人工知能プログラミングに明け暮れる日々が続きました。そんな折, さまざまな方から, 「人工知能アルゴリズムを体得したいのですが, どの程度まで数学を学ぶべきでしょうか?」という相談を受けることが多くなりました。

石川聡彦『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』(KADOKAWA, 2018)


相手のペインポイント(悩み)にしっかり応える姿勢は、石川さんがnoteに書かれた「コンサルタント経験者を積極雇用する理由」という記事からも読み取れます。

AIスタートアップでは画像認識の基本モデルだったり、ツールといったものを研究開発しているわけですが、大企業のお客様にご提案しても、そのツール単独でご利用いただくというケースは非常に少ないわけです。

(中略)その場合、ソリューション、ツールだけをご提案してもその企業にフィットしないことが多く、企業ごとに解決したい課題はバラバラな為、そういった課題を整理してAIを使うべきかどうか立ち返って提案するケースが多くなってきます。

AIスタートアップの裏側 / 石川聡彦@ai_aidemy(note.com)


私はAidemyを2021年から受講していますが、Aidemyは常にユーザーの悩みに関心を寄せていて、とっつきやすい教育システムに日々改良されていると感じます。

講座のいくつかは無料でも受けられるので、実際に試してもらえれば、その使用感はすぐわかっていただけると思います。

>> Aidemy会員の無料登録ページへ行く

とにかくアクションの数が多い

石川さんはアドバイザーの意見はすべて受け入れるそうです。

最初の鳴かず飛ばずだった3年間が教訓となっていて、「自分で考えるより聞いたほうが成功するから」と、貰ったアドバイスは全部アクションにしてしまいます。

迷ってる時間があるんだったら全部アクションした方が早いよねっていう話もあるし、フィードバックする側もアイデミーが何かアクションすると恐らく喜んでさらにフィードバックしてくれるというのはあると思うんですよ。

迷うくらいなら即アクションの哲学|アイデミー 石川 聡彦氏 / The Founders with スタタイ


創業者といえばワンマンなイメージが強いですが、石川さんは常に誰かの意見を聞く姿勢を絶やしません。その個性が以下のような柔軟で多角的な事業展開につながっているんだと感じます。

Aidemyの展開している事業例
  • 個人と法人向けに教育プランを別々に用意
  • AI教育だけでなく、AIを使うための支援ソリューションmodeloyを提供
  • GoogleやMicrosoftと連携した講座作成

私がAidemyを受講している最中も、どんどん新しい講座ができていきました。本当に学ぶことを飽きさせないスクールです。

プレスリリースとSNSを活用

アイデアや他者から貰ったアドバイスをすべて形にするのは大変ですが、石川さん(Aidemy)はプレスリリースとSNSを活用することで、コストを抑えながら上手にアクションを増やしています。

プレスリリースがすごく有用なのは、アクションをたくさんするデメリットとしては工数がかかるっていうのがあるんですけど、プレスリリースを書くってそんなに工数がかからないんですよね。

(中略)カジュアルにユーザーの声を検証するツールとしてプレスリリースを最初に発表して、そこでのフィードバックをベースにプライオリティをつけるということをやっていました。

迷うくらいなら即アクションの哲学|アイデミー 石川 聡彦氏 / The Founders with スタタイ

石川さん自身、非常に情報発信の多い方で、

などなど、これだけのメディアやSNSでご自身の考えを発信した人はなかなかいません。
石川さんもAidemyもネットの情報発信を上手に使いますが、決してビジネスの視点を忘れないところも非常に上手です。
SNSで話題になったものの、費用対効果や実際に良くなかったものはすぐ修正。

代表的なのが、バーチャルYoutuberがAIの教材を教える企画があって、すごいバズったんですよ。面白いと思って実際にコンテンツも作ったんですよ。でVTuberががPython入門とか教えるっていう動画を作ってローンチしたんですけど、いざローンチしてみると、「オフィスで見にくい」という声が殺到して、確かにそれはそうだなと言うので結局撮り直して僕が今教えてる動画になってるんですけど(笑)

迷うくらいなら即アクションの哲学|アイデミー 石川 聡彦氏 / The Founders with スタタイ

この他者評価に対する冷静さ。歌舞伎子役として大衆の前に立った石川さんならではのバランス感覚なのかもしれません。

変化を大事にしつつ、今後はBtoBへ

最初、プレスリリースで10名の生徒を集めたところから始まったAidemy。
社長石川さんの特異な経歴と衰えないバイタリティで、今やユーザー数10万人を超える教育システムにまで成長しました。

インタビュー記事では、今後は石川さんご自身が「向いている」という法人向けビジネスへのシフトを加速していくと語っています。

Aidemyでは今後BtoBサービスを軸に教育研修のサービスだけではなくて、育ったデジタル人材と弊社の人材が一緒になって新規のビジネスをやるっていうような事業を開始していこうと思っています。すでに部分的に開始しているんですが、EラーニングのサービスからDXを実現するサービスという形に、さらに大きくピボットしようと思っています。

迷うくらいなら即アクションの哲学|アイデミー 石川 聡彦氏 / The Founders with スタタイ


こうして法人向けビジネスで得られたノウハウを、個人の教育コンテンツに反映するようなWin-Winの効果が今後さらに期待できそうです。

ただ石川さんご本人に一般ユーザー向けサービスに苦手意識があるので、法人に比べて採算がよくなければ、将来的に個人向け教育サービスは撤退してしまうかもしれません。今のところ調子は良さそうなので、しばらくは安心ですが。

個人的には法人の顧客と個人の顧客(Aidemy受講生)をマッチングさせて、AI人材の円滑な活用環境プラットフォームになることを期待しています。
少なくとも10万人のAI学習者リストを持つAidemyは、そうなれる可能性を秘めているスクールです。

今後AIで何かしら仕事していこうと考えるのなら、今のうちにAidemy勢のリストに加わっておくのも1つの生存戦略と言えるのではないでしょうか。

とにもかくにも、Aidemyと石川さんが今後どんな事業を展開していくのか、しばらくは目が離せそうにないですね。

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この記事を書いた人

37歳。名古屋工業大学大学院卒業
某中堅モーターメーカーに就職
AIの自主勉強をはじめた品質管理マン
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